代表幹事
林 正博
代表幹事
清川 肇
代表幹事
吉田 真士
挨拶
福井経済同友会は、地域経済活性化と地域貢献に向け、昭和30年に創立以来地域に根ざした活動を続けてまいりました。
◇日 時 | 2019年4月11日(木)・12日(金) |
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◇会 場 | 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター |
◇当会参加人数 | 18名(事務局含む) |
第32回全国経済同友会セミナーは、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター で「新時代へのイノベーション〜ポスト平成の成長戦略を描く〜」を総合テーマに、全国44の経済同友会から約1,300名の会員が参加して、開催された。
インダストリー4.0やIoTの進展などによりイノベーションを実現し新たな市場を創造し、高い成長を実現している企業が経済界を席巻してきているが、一方で、格差の拡大や政治の不透明感、資源エネルギー問題などへのリスクへの懸念が高まってきている。
日本では少子高齢化に伴う人口減少や労働不足、東京一極集中などの課題が山積している状況にある中、平成から令和への時代の節目にイノベーションに伴う産業の変化による新たな価値創造をテーマに議論を繰り広げた。
先ずは、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 代表取締役CEOの落合陽一氏(筑波大学準教授 著書「日本再興戦略」「日本進化論」等)が基調講演で、問題提起した。
概要は下記の通り。
コンピューターサイエンスを使って、どのように社会の課題に取り組んでいくかについて考えていきたい。少子高齢化が進む日本社会では、廃校など人口減少によって撤退するインフラがある。
アート作品を作る等、徹底してインフラを活用する手段があるのではなかろうか?茨城県の芸術祭で廃校に芸術作品を展示する機会があった。改修して新しいものに作り替えるというハードウェア的な手法ではなく、少し使い込んだものや、わびさびのある風景に高い価値を感じられる美的感覚の醸成が必要だ。
ソフトウェアはコストを抑え新たな付加価値を与えることも可能だ。これからは金接ぎ文化のように、ソフトウェアで物事を修復する社会になっていくのではないか。
そんなときに重要なのが「デジタル発酵」である。発酵はこれまであった資源を返還すると言った意味がある。現在は世界中どこにいてもデジタルに繋がることができる。デジタルを使えば、殆ど費用を掛けずに価値を返還することができる。即ち、今あるものの価値を発酵のように高めていけるかが勝負である。
また、現場で発生した問題を基にデータを解析し、ソフトウェアで解決を目指せば、日本の生産性も変わる。技術的には大したものではないと言われるものでも、素早く社会に出して実験した方が良い。我々の社会を実験場としてどうしたら最適な暮らしができるかを考える必要がある。
デジタル発酵やソフトウェアが成熟していく中で、新しいイノベーションの価値が醸成されていくはずだ。政策や民間、産業、産学連携の中でもトライアンドエラーが可能な社会になって欲しい。
基調講演後、4つの分科会に分かれテーマごとに討議が行われた。
令和という新時代を迎えるに当たり、平成を客観的に総括する。
企業価値の指標の一つである時価総額で振り返ると、1989年(平成元年)の世界トップ10には7社が日本企業であったが、現在は米国や中国企業に抜かれ、40位前後に漸く顔を出す。世界的な変革のうねりの中で、この現実を真摯に受け止めてこそ、日本は新たな戦いに臨むことができる。井の中の蛙になってはいけない。
どうすれば日本が再び存在感のある国に戻ることができるのか。歴史を見ても、人類の難局を救ってきたのはイノベーションに他ならない。日本が新時代を迎えるにあたり、いかに革新の手掛かりを見出していくか。ポスト平成の成長戦略を描く本セミナーのテーマは、誠に正鵠を得たものだった。
セミナーでの議論に通じる根源的な問題として、日本人が取り戻さなければならないモノがある。イノベーション推進の原動力となるのは、探究心、ガッツ、知的ハングリー精神だ。アンケートでは現在の日本人の若者は現状に満足し、壮年や老人が不満足との結果をみると、日本人がハングリー精神を失い、今さえ、自分さえよければと自分お殻に閉じこもっている姿が見える。
ぬるま湯につかって茹で上がるのに気づかない「ゆでガエル」状態にあると言ってよい。世界で勝ち抜くための夢や活力を取り戻すために、ゆでガエル状態から脱却しなければならない。そのためには、驚いてカエルを跳びあがらせる「蛇」が必要である。蛇の役割の原動力は企業経営者である。経営者一人一人が健全な危機感を持ち、企業、業界を従来の発想にとらわれず変革していくことこそが求められる。
「経営者は自ら変革を起こす必要がある」と強調。「日本がJAPAN2.0の集大成に向けて、イノベーションをテコに持続可能な豊かな社会を築いていくことに必要な様々なヒントがあった。変革の原動力となるのは経営者だ。正常な危機感を持って、知見をそれぞれの地域に持ち帰り議論を深め、次世代につなげる輝く地域や日本の在り方を描き、実行していただきたい」と総括した。
良い文化は時間が経つと価値が上がってくる。人と違うこと、面白くてわくわくすることを完成させると末代まで残るものだ。
幼いころ、朝起きると必ず習字に取り組んだ。母から「うまいね」ではなく、「面白いね」「昨日と違うね」と言われるのがうれしくて、毎回違うように書いていた。学校ではお手本に合わせなかったら最後は廊下に出された。だがずっと私はヒトが言うことをやらない。面白いことをやる。(そうしたことを続けていれば)いつか成功すると思っていやってきた。
だから「文化庁は面白い」というコンセプトを掲げている。文化庁の看板も面白くないから変えた。最初はみんなから「えーっ」と言われることが大きな力になる。
経済を動かしていくには、一気に増えたインバウンドを活かしていくべきだ。リピーターになってもらうことが大事。そのために文化庁でも見直せることは積極的に取り組みたい。
例えば、昼間の二条城ほどつまらないものはなかった。整備してわかったことはちょっとしたきっかけを作ることが、人を呼び込むためには大切だということだ。
岐阜城を居城とした織田信長は、実におもてなしがしっかりした武将だった。今、信長のおもてなしの精神を引き継ぎながら、「たのしいな」「美味しいな」「すごいな」と思えるように工夫し、観光客は増加した。
文化庁では、各種表彰などを行っているが、陰で頑張っている人、地方にある素晴らしいものも顕彰している。ここにいらっしゃるリーダーたちもやり方次第だ。
特別講演後、次期開催地の土佐経済同友会の弥勒代表幹事から、新潟県の紹介と次期セミナーの参加呼びかけで幕は閉じた。