活動報告

年頭所感

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2022年 年頭所感
グレート・トランスフォーメーション
(大変革)
〜予測不能の時代に向かって〜

福井経済同友会

代表幹事 林  正博
代表幹事 清川  肇
代表幹事 吉田 真士

 失われた30年といわれるようにバブル崩壊以降の日本は、世界をリードする成長分野をなかなか見出せず、その存在感やプライドを維持することができなかった。新型コロナウィルス感染症がまん延したことで、DX化の遅れをはじめ、日本社会がいかに旧態依然となっていたかも自覚させられた。

 多くの先進国が今、率先して脱炭素を実現し、生産性を向上させ、ワークライフバランスを保てる社会を目指している。日本がこれ以上、世界に置き去りにされていくのか、もう一度、世界に見直される国に向かえるのか。2022年は分水嶺とも言える重要な1年になるのではないか。さらに福井県にとっては北陸新幹線の県内開業まであと2年余りとなり、いよいよ受け入れ準備の本格化が迫られる1年になる。

 福井経済同友会は昨年の年頭所感で「グレート・リセット(再起動)」をテーマに掲げ、新たな時代を見据えた取り組みの推進を呼び掛けた。技術革新や感染症のまん延など、近未来ですら予測不能で変化が突然に訪れる社会(VUCAの時代*)において、多くの企業が従来の型に納まったビジネスだけでは乗り切れないとの危機感からだった。引き続きコロナ禍で迎えた今年は、リセットした結果として、自らが大きく変わって発展しようとの決意を込めて「グレート・トランスフォーメーション(大変革)」を呼び掛ける。

 当会では昨年来、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)を考える委員会」「ウェルビーイング社会を考える委員会」などを新設し、計9委員会で幅広く社会の流れを見定められるよう研究を進めている。新しい考え方をどのように経営に組み入れていくのか、何を意識して何を変えるべきなのか、だんだんと方向性が見えてきた。福井県が幸福度日本一の評価を得ながら実感に乏しい原因を深掘りし、ウェルビーイング経営をベースにさらなる生産性の向上、労働環境の改善、若者の地元就職の促進などにつなげたい。

 DX研究委員会の提案から昨年、事務局運営のDX化に着手し当会の変革もスタートした。早期に会員を巻き込んだ当会運営全体のDX化に拡充し、会員企業の取り組みの促進を期待している。

 福井県にとって大きなインパクトとなる北陸新幹線の県内延伸は24年3月に迫っており、今こそ新幹線効果の最大化に向けて全力を尽くさなければならない。その一環として、会員が県内の歴史や文化について視察を交えて学び直す活動も始めた。多くの企業人が地元の奥深さに不見識な現状を変革し、もっと知って伝えることが、北陸新幹線県内開業後のおもてなし力向上につながると確信している。観光に注目する中で、「ふくいらしさ」についての議論も深めていきたい。更に、北陸新幹線の大阪までの延伸について、早期着工を実現するため関西を中心とする西日本の経済界に継続的に働きかけを行っていきたい。

 そして、当会として初めて誘致した「全国経済同友会セミナー」の24年4月開催に向け、今年から準備を本格化させる。福井の地に、全国から発信力も高い千人規模の経済人をお招きするに当たり、幸福度日本一の魅力を最大限伝えられるよう努めていく。これを契機に福井県での様々な全国規模のイベント開催の後押しができれば、望外の喜びとなる。

*VUCA
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べて一つの単語としたもの。1990年代後半にアメリカ合衆国で軍事専門用語として発生したが、2010年代になってビジネス業界でも使われるようになった。
(出典:Wikipedia)