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第31回全国経済同友会セミナー

テーマ
「次世代につなげる輝く日本を目指して
             〜明るく希望に満ちた社会の構築〜」

日 時 平成30年4月19日(木)・20日(金)
会 場 ホテル東日本宇都宮・栃木県総合文化センター
当会参加人数 10名(事務局含む)

 第31回全国経済同友会セミナーは、第1日目は栃木県宇都宮市のホテル東日本宇都宮、2日目は栃木県総合文化センター で「次世代につなげる輝く日本を目指して〜明るく希望に満ちた社会の構築〜」を総合テーマに、全国44の経済同友会から約1,000名の会員が参加して、開催された。
 オープニングでは、日光東照宮楽師による雅楽演奏が披露され、6月まで栃木デスティネーションキャンペーンが展開される中、栃木県の観光PRも行われた。
 今回のセミナーでは、「我々は、これまでの成功モデルに安住することなく、既存の秩序や体制に対して、次世代を担う若者たちとともに、創造的破壊を繰り返しながら、若者たちに確実に繋げる持続可能な社会の実現、そして、未来に希望が持てる社会の構築を実現しなければならない」として議論を展開した。


 基調講演では、国立競技場を手掛ける建築家の隈研吾氏が、「人口減少社会での持続可能な街づくり」というテーマで、地域の資源を活かし持続可能(サステナブル)な街を如何に創造するか提起された。
 現在の新国立競技場の完成度は60%程度であり、これに使われ自然素材である「木」や「石」は環境にもよいサステナブルな、人間の気分にも良いものである。更に、「木」に対する一般的な認識とは異なり、丈夫で長持ちすることを特徴として、時代の中心になってきているとして、世界各地の建築物を紹介した。また、新国立競技場は全国47都道府県の「木」を使用する予定であると述べた。


 基調講演後、4つの分科会に分かれテーマごとに討議が行われた。



第2日目は、各分科会からの報告後、小林代表幹事からの大会総括

「経営者は自ら変革を起こす必要がある」と強調。「日本がJAPAN2.0の集大成に向けて、イノベーションをテコに持続可能な豊かな社会を築いていくことに必要な様々なヒントがあった。知見をそれぞれの地域に持ち帰り議論を深め、次世代につなげる輝く地域や日本の在り方を描き、実行していただきたい」と総括した。

特別講演
「未来に繋げる地域文化の磨き方」
(株)小西美術工藝社 社長 デービッド・アトキンソン

 観光は全世界のGDPの10%、雇用の10%、世界輸出の7%を占める巨大な産業である。
 日本の人口減少下における有効需要の低下を防ぐためのインバウンドが注目されている。海外からわざわざ、費用と時間を費やして来日する外国人は増加しているが、彼らは、日本人が自分達の強みとしてアピールしている、所謂「おもてなし」を目的には来日していない。
 観光の目的に必要な4つの要素である「自然」「気候」「文化」「食事」の充実と、これらで稼ぐことができる仕組みづくりが重要であるが、日本はこれらすべての要素が揃っており、更に四季までが揃っているという世界でも希に見る国であるにも関わらず、この「稼ぐ」仕組みができていない。
 そのため観光客一人当たりの消費額が他の観光国に比べて、大きく出遅れており、この改善が必要である。
 インバウンド増加について、キーワードとして「多様性」を挙げ、外国人のためにメニューを沢山準備することが必要で、そのためのデータ分析が重要である。
 消費額を伸ばすには滞在日数(時間)を伸ばす必要があるが、残念ながら日本人が観光地の名所旧跡として挙げる神社仏閣などでは、外国人が訪れると、すぐに疲れてしまい長時間過ごすことができない。(日本の神社仏閣は、長時間過ごす仕組みを持っていない。)
 日本の自然は、多様性があり、体験・癒しを提供し、長期間の滞在を可能にする。旅の疲れも癒すことができる。外国人は特にビーチを始めとする自然を好む傾向があるため、海に囲まれた日本の自然をPRし、自然を満喫できるアクティビティを創造し、観光地の疲れをいやすようなリゾートを開発し、滞在日数を延ばすことによって、単価の向上を図る必要がある。
 従って、観光地にある本来の価値に、観光客がお金を落とすための付加価値を落とす工夫が必要である。即ち、日本人の立場で上から目線ではなく、外国人の目線に立って、本当に求められているものは何か?を見つけ出さなければならない。


 例えば、
・パンフレットは外国人に判り易い作りか?(単なる翻訳ではダメ)
・アクティビティはあるか?(外国人用ガイドがあるか?山に登らせているか?等々)
・解説案内は外国人に判り易くなっているか?(単なる翻訳ではダメ)
・座る場所が確保されているか?
・食事は満足いくものが提供されているか?
・カフェがあるか?
・宿泊施設は評価できるか? (旅館のように毎日、同じような食事を提供してはならない。宿泊客に多くの選択肢を与えることができるようにすべきである)
・観光客の細かな属性を考慮したマーケティングができているか?等々

 また、富裕な観光客に消費を促すにも、タイなどの他の発展途上国の観光国に比べても、明らかに5つ星のホテルの数が少ない。これらの環境整備を進める必要があると訴えた。

 特別講演後、次期開催地の新潟経済同友会の山本筆頭代表理事から、新潟県の紹介と次期セミナーの参加呼びかけで幕は閉じた。