代表幹事
林 正博
代表幹事
清川 肇
代表幹事
吉田 真士
挨拶
福井経済同友会は、地域経済活性化と地域貢献に向け、昭和30年に創立以来地域に根ざした活動を続けてまいりました。
◇日 時 | 平成18年4月13日(木)・14日(金) |
---|---|
◇会 場 | リーガロイヤルホテル広島(広島市) |
◇当会参加人数 | 10名 |
![]() |
![]() |
グレゴリー・クラーク氏の基調講演 |
第2分科会でのパネルディスカッション |
第19回全国経済同友会セミナーが広島市において開催され、全国45の経済同友会から1,000名を超す会員が参加した。本セミナーは、広島経済同友会の創立50周年記念事業の一環として、1996年以来の広島にての開催となった。
今回は、「ヒューマンルネッサンス 〜経済人に、今、求められるもの〜」をテーマに、日本はこれからどのような方向に向かうのか、経済人として日本の発展にどのような貢献ができるのかの視点から、経済だけでなく、社会、教育など幅広い分野で議論を深めた。
基調講演では、多摩大学名誉学長のグレゴリー・クラーク氏が「人づくりと日本文化」と題し、歴史と伝統から育まれた日本人のよさと、西洋との違いを話された。単一民族で農耕主体から、家族的、情緒的なムラ社会が生まれ、それらが協調性の高い日本人の特質として企業経営にも生きている。西洋では戦争が多いことからイデオロギーや合理主義、能力主義中心の社会であるが、日本企業の今後の課題は年功序列に能力主義をどのように取り入れるかである。また、日本人の素晴らしい特徴は「ものづくり」であり、まじめで忠誠心を持って「ものづくり」に取り組んでいる。しかしながら、日本の教育には戦略性がなく、教育にも充実感を持つようなインセンティブが必要であると述べた。
その後、4つの分科会に分かれテーマごとに意見交換が行われた。要旨は以下の通りである。
地域で長年培った「ものづくり」の技術をいかに伝え、発展させるのかについて意見交換をした。
「技術革新は既存技術だけでなく豊かな想像力を育む社員教育からも生まれ、それらが経営者の役割ではないか」との問題提起から、 (1)「ものづくりの心」を教育する重要性 (2) 五感が「ものづくり」支えてきた。技術伝承もフェイス・トゥ・フェイスが必要である (3)「ものづくり」の軸は「人づくり」である―などの意見が出された。
企業の不祥事が多発しているが、 (1)安全・安心に対する信頼感の喪失 (2)法令遵守や倫理観に対する信頼感の喪失 (3)システム・個人情報に対する信頼感の喪失―の3つカテゴリーとして分けられる。企業はCSR活動を受身で捉えがちだが、企業価値創造の観点から取り組むべきであるとの問題提起から討議を始めた。
(1)CSRは持続的な 発展に欠かせず、CSRを意識しながら前向きな投資として取り組むことが必要であり、今後は健康や環境問題に力を入れる (2)不祥事のかなりの部分は経営者の責任である。CSRの実践には、本業を活かして始められる社会貢献は多い。そうした点から国内外にはいろいろなチャンスがある (3)社是・社訓などで理解しやすく、行動に移しやすい指針を定め、愚直に変えないことも必要である。
その中で、誰に対する責任かについては、顧客に対する責任を第一としている。また、経営者も率先して実行し、評価を受けることが必要―など様々な面からCSRに取り組んでいることが発表された。まとめに、本業の中でしっかり取り組みことが必要であり、特別なことではないと締め括られた。
経済のグローバル化が進む中、企業や社会に必要とされる人材をどのように育てるかを中心に話合った。 (1)教育の最終目標は子供の自立させることである。学校任せでなく、家庭の責任ですべきである (2)自分でものを考える力が個人の力であり、最終的には企業の力となる。若い人に責任のある仕事を任せ、可能性を引き出すべきである (3)国際社会で通用するのは相手の国や文化を理解できる人間。優れた人の考え方に触れ、潜在能力を伸ばす機会を設けることも必要―などの意見が出され、人づくりは「ものづくり」、企業経営の原点であり、日本の伝統文化をよりどころとしたグローバルな人材の育成が急務であるとまとめられた。
若者の勤労意識の変化や人口減に向けた対策について論議した。
(1)今の若者は、好きなことをやろうとする意識が高く、企業はどう応えるかが問題 (2)処遇や評価は透明性が大事で、働く人が納得できる環境が求められている (3)派遣など非正規社員は結婚しない人が多く、社会的にも負の遺産であり、公的な職業訓練制度の充実が必要―などの意見が出され、企業の魅力を高めるには、達成感のある仕事や人材育成制度の充実が必要であるとの結論を得た。
第2日目は、各分科会からの報告のあと経済同友会(東京)の北城代表幹事が、「日本経済が回復している一方、多くの課題もあり経営者の果たす役割は大きい。人づくりと変革への挑戦をしながら、経営者のビジョンを社員と共有し、社員が行動できる仕組みづくりが重要である」と締めくくった。
続いて、広島県出身のプロ野球投手として長年活躍した野球解説者の村田兆治氏の「『先発完投』〜全力投球のわが人生〜」と題した特別講演が行われた。右肘の故障で苦しみ、3年の長きに亘っての心の迷いや、野球人生で得た「誇りと夢の大切さ」、「勝負に勝って始めて自分の信念となる」人生哲学など、厳しいプロ世界での経験談は、企業経営者の共感を得るものが数多くあった。
来年の第20回全国経済同友会セミナーは金沢で開催予定であり、加賀百万石の歴史と文化を紹介しながら、次期開催地の挨拶が行われた。金沢経済同友会は創立50周年の記念事業として来年の全国セミナーを誘致したが、当会としても、お隣であり多数の会員参加に向け協力を呼びかけていきたい。